算命占星術学鑑定所明学院宇都宮校

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算命学の相性鑑定Ⅰ‐③


これまで①では夫である男性の陰占・陽占から、②では妻である女性の陰占・陽占から別々の鑑定をしてきました。今回はこの若い夫婦の陰占・陽占を並べその相関関係を調べていきます。
男性の陰占(宿命図・命式)   女性の陰占(宿命図・命式)
戊  辛  丁         乙  壬  壬
寅  亥  卯         亥  子  申
命式の上の十干を天干(てんかん)、下の十二支を地支(ちし)と呼びます。男性の命式の天干、戊・辛・丁と女性の命式の天干、乙・壬・壬。この中の戊と壬に着目して下さい。前回も述べましたが十干はそれぞれ木・火・土・金・水の性質を帯びています。戊は土性、壬は水性です。水の流れは土に吸収され、せき止められます。このように相手から自分の力を弱められる関係を五行の相剋(そうこく)といいます。室町時代後期の戦国時代、位の低い者が上位の者を軍事力によって打倒し政治の実権を奪うことを下剋上といいました。下の者が上の者を剋すわけです。それと同じように考えてもらえばいいのです。二人の十干の戊と壬は土剋水(どこくすい)となり、土が水を剋します。この二人は天干で剋し合っています。
次に命式の地支。男性は寅・亥・卯。女性の地支は亥・子・申。ここで注目すべきは寅と申です。子・牛・寅・卯…と数えていくと申は寅から七つ目の十二支です。時計を想像して下さい。12時に子、1時に丑、2時に寅…のように当てはめていくと、申は8時となり、2時の寅と反対の位置にあります。このような関係を対冲(互いに反発する、相手の力をそぐ)といいます。つまり二人の命式を組み合わせると天干で剋し合い、地支で冲(ちゅう)し合う関係にあります。これを天剋地冲(てんこくちちゅう)と言います。
相関関係で見られる天剋地冲はこの二人が強い力で引き合っていることを意味します。仲の良いカップルを、前世では親子だったとか、兄弟だったとか、愛しながらも添い遂げられなかった二人だったなどと、まことしやかによく言われます。本当のところは分かりません。しかしこの天剋地冲から、前世からの因縁…と形容したくなるほど、この若い夫婦の相性は極めて良いと言えます。一度愛し合うと命をかける、それゆえに憎しみ合うのも命がけという激しさです。
次に二人の陽占を並べてみましょう。
男性の人体星図            女性の人体星図
     玉堂星  天恍星           玉堂星  天報星
車騎星  禄存星  牽牛星      玉堂星  龍高星  牽牛星
天貴星  調舒星  天馳星      天極星  玉堂星  天胡星
 男性の主星は中央の禄存星。その左側の車騎星が配偶者の星になります。車騎星は陽の金性です。その配偶者の星が女性の人体星図の中にあるかどうかを調べてみます。女性の人体星図に車騎星はありませんが牽牛星があります。牽牛星は陰の金性。陰、陽の違いはありますが、同じ金性であることから、車騎星=牽牛星と考えられます。男性の配偶者の星が女性の人体星図の仕事の場にあることになります。これは男性が、女性の仕事、現在は子育て中でしょうから、その子育てに対して協力的であるということを示しています。
女性の中心星は龍高星です。その左側の玉堂星が女性の配偶者の星になります。その玉堂星は男性の人体星図の北方の位置にありました。女性は男性を良く理解できます。特に男性の将来の夢に寄り添うことが出来ます。
相性の点では相思相愛との鑑定が出ますが、相性鑑定①では男性に情操の星があり、恋愛トラブルが起こりやすいことを予測しました。②では女性が日座冲殺という異常干支を宿命に持ち、結婚生活を破たんする力が働くこと、そして水性地支一気格が宿命にあることから、男性が若くして死を迎えるかもしれないことを予見しました。しかしながら相性鑑定では良好と判断されます。
この二人が結婚(同棲も同じです)せず、別々の場に生活の基盤を持ち、愛し合えれば二人にとって幸いと言えたでしょう。もちろん二人の間に子供ができないという条件付きで…。 しかし現実は結婚し、第一子をもうけています。
そのお子さんの陰占・陽占を調べてみましょう。
子供の陰占(命式・宿命図)  子供の陽占(人体星図)
 甲  癸  丁    調舒星  天報星
辰 午  卯  酉        司禄星  石門星  牽牛星
巳                天極星  玉堂星  天将星
陰占を見て下さい。お子さんの天干、甲・癸・丁の癸・丁が剋し合っています。癸は水性、丁は火性です。水は火を消してしまいます。水剋火(すいこくか)となり、天干には剋し合う十干(癸・丁)が並んでいます。さらに地支を見て下さい。午・卯・酉の卯と酉、卯から数えて七つ目の十二支が酉です。これは対冲です。この子は宿命に天剋地冲を抱えて生まれてきました。
父親と母親の相関関係での天剋地中と宿命の天剋地冲はその意味が違います。宿命天剋地冲を持つ人は、周囲の人の運気を吸収しながら、というよりは人の運気を食べながら成長するといいます。天剋地冲の人が上り調子の時には近づかない方がよい、あなたの運気を持っていかれるから…、などと言われます。この子は他人の運まで自分のものにしてしまうほどの類(たぐい)まれな強い運気の持ち主ということになります。その上、極めて聡明。将来、ある分野で名をあげカリスマ的存在になると予見できます。
これから述べることは宿命天剋地冲をよく理解してもらうための余談です。今回の鑑定とは全く関係ありません。私のよく知っている天剋地冲の子は現在6歳になったばかりで、来春小学1年生になります。知人のお孫さんです。その知人から「娘が出産するんだけど、帝王切開で日取りも決まっている。その日はどうなの?」と相談を受けました。「天剋地冲を宿命に持って生まれてくる」「そりゃ大変だ。別の日にしてもらった方がいいな。誕生日は選べるんだから」「いや、しかし天の意志がその子をその日に誕生させるんだから」等々…すったもんだの末に、帝王切開で誕生した天剋地冲の子。歩き始める頃、電子レンジの秒数の表示に強い関心を持ち、家族が車で移動するときは電柱の住所の番号に反応し、5歳になる頃には足し算引き算はもちろんかけざん九九も覚えてしまい…。しりとり遊びをしている様子を見ていてその語彙の多さに驚き、私はいたずらに「あいうえおか」と割り込んでみました、するとちょっと考えた後「かきくけこさ」と彼に返され、さすが天剋地冲の子だと感心したものです。世界の国名、首都名も覚えてしまったらしく「バヌアツ共和国の首都は?」「えっ、そんな国どこにあるの?」「オセアニア州にあるんだよ」クイズ番組で見かけるちょっとオタクな地理大好き大学生みたいだな、小学生にもなっていない子がオセアニアだって、と思いながら、「降参。分からない」と私は答えるしかありませんでした。「ポートビラが首都」。こんな子が小学校に行ったら先生も扱いに困るだろうな、とその天剋地冲の子を見るたび思います。群を抜いて聡明、将来カリスマ…。朝起きてから寝るまでこのテンションです、最近はひらがなをローマ字に直すのが気に入っていて…と天剋地冲の子の母親は苦笑いをしていました。
さて、寄り道はこれくらいにして本題に戻りましょう。陽占を見てみましょう。この子の人体星図には天将星があります。天将星は天帝の星とも言われ、十二大従星の中で最もエネルギーに満ちた星です。平凡に生きたら天将星の力に本人が負けてしまいます。そのエネルギーを自分のものとし活かすためには人の何倍も苦しみ、苦闘することが必要とされています。
ノーベル文学賞の川端康成も天将星を持っていました。彼は幼少期、少年期に肉親の死という過酷な試練を次々に与えられました。1歳で父の死。2歳で母の死。その後祖父母に引き取られますが、8歳で祖母の死。9歳で一人きりの姉の死。残された病弱な祖父を世話しながら中学生となった13歳、その祖父も死に、その後は遠い親戚に引き取られました。しかしその後日本を代表する小説家の一人となり、晩年、日本人初のノーベル文学賞を受賞しました。13歳で天涯孤独。この幼少・少年時代の辛酸があってこそ、天将星のエネルギーを活かすことができたのではないでしょうか。
さて、この子にとって天将星をプラスの方向に働かせる苦難とはなんでしょうか?②で述べたように母親の陰占で水性地支一気格によって父親が若くして死ぬことが暗示されました。さらに日座冲殺の異常干支があり、結婚生活を壊す力が働きます。そしてこの子は宿命に天剋地冲を抱いています。他の人の運気、父親、母親の運気まで自分のものにしてしまう強運の持ち主。そして宿命に天将星を持って生まれました。この天将星が活かされるためには人一倍の苦しみが必要となります。これらのことからこの家族の行きつく先は家庭崩壊という結論が導き出されます。生まれてきた子に咎(とが)はないとはいえ、この子は家庭的な幸せには恵まれません。残酷な未来を暗示する鑑定となってしまいました。
結論としてこの家族の相性は、父親と母親の相性は極めて良好です。父親に情操の星、母親に水性地支一気格、日座冲殺などの問題はありますが…しかし父親と子供、母親と子供の相性は良くありません。紙面の都合上詳細には述べられませんが、陰占を調べると、この子は父親の忌神(いみがみ)であり、母親の忌神でもありました。父親にも母親にも災いをもたらす子になってしまいました。
相性鑑定は以上で終了ですが、ここまで読まれた方は、この子の将来はどうなるのか、と心配になられたことでしょう。鑑定している私にも、この子はどんな人生を歩むのか、という気持ちがこみ上げてきました。たとえ家庭的な幸せに見放されたとしても、この子の将来に明るい陽光がさしますように…と願わずにはいられません。この子はまだ乳飲み子なのです。
この子の大運を調べてみましょう。大運とは10年ごとの宿命のサイクルです。

子供の大運(一部割愛)
1旬  9~ 天 外 甲辰 貫索 天堂 進    退 害  進 支合 
2旬 19~ 天   乙巳 石門 天胡 進    退    進 半会
3旬 29~  移外 丙午 鳳閣 天極   自刑 退 破  進
4旬 39~  移  丁未 調舒 天庫 退 支合 退 半会 進
5旬 49~   外 戊申 禄存 天馳 退    退    進
6旬 59~     己酉 司禄 天報 退      天剋   自刑
7旬 69~   外 庚戌 車騎 天印 退 半会 進 支合 退 害
8旬 79~     辛亥 牽牛 天貴 退    進 半会 退
9旬 89~   外 壬子 龍高 天恍   冲  進 旺刑 退 破
10旬=99~     癸丑 玉堂 天南 進 害  進    退 半会

この子の天冲殺は辰年(たつどし)巳年(みどし・へびどし)です。上の大運の1旬、2旬に天とありますが、これは辰・巳の大運天冲殺を表し、9歳から28歳までの20年間大運天冲殺が廻ることを意味します。大運天冲殺が廻ると運気が急上昇します。ただしこの時期はまだ親の庇護のもとにあり、大運天冲殺は稼働しません。20年ずれて29歳から48歳に大運天冲殺が廻ると考えられます。
 運気がどのように動いて行くのかを守護神をとって調べてみましょう。守護神の取り方は日干月干守護神(調候守護神)や通干守護神などがありますが、バランス守護神で調べます。宿命の干支が陰陽五行の木火土金水のバランスを良くする干支を守護神とします。細かい手続きは省略します。バランス守護神は金性となりました。大運の何旬目に金性が廻ってくるかを見てみると金性の十二支は申(さる)・酉(とり)ですから、5旬・6旬の49歳から68歳までの20年間、守護神である金性の力を借りて運気が上昇します。この子は29歳から68歳まで上昇運が続くことになります。このように長い期間にわたって運気の上昇が続くのも稀なことです。運気の点から見ればこの子の未来はバラ色に輝いているといえるでしょう。
 水を差すようですが、大運天冲殺の稼働には前後5年間位、「離の現象」が現れ、その後に運気が上昇します。仕事を辞めるとか、家族と離れるとか、故郷を出るとか、何らかの別離があって、大運天冲殺が稼働するということです。親の元にいるから9歳からの大運天冲殺は稼働しないと言いましたが、暦(れき)の上では大運天冲殺ですから、小学生低学年から中学生の頃にこの「離の現象」が出てくるのではないかと懸念されます。母親の水性地支一気格や日座冲殺が働いて家族が壊れるのではないか、この子の宿命の天将星のエネルギーが「離の現象」の引き金になるのではないか、さらに天剋地冲を宿命に抱えた子が親の運気を奪いながら成長していくとしたら…など気がかりなことはたくさんあります。「離の現象」からいえばこの子の大運の3旬4旬の前後にも現れるかも知れません。大運天冲殺の稼働には一時的な下降運が必要ですから、その時、今は落ち込んでいるがやがて事態は好転すると考えていければ、この子は成長とともに、人を惹きつける魅力のある人となり、活躍の場で驚異的な成功を収めることになるでしょう。
 この鑑定の後、私はこの子の父親に気がかりなことを確認してみました。結婚したのはいつか、この子が生まれたのはいつか。結婚したのは父親、母親の天冲殺の年であり、この子の誕生も天冲殺の年でした。算命学では天冲殺の年の結婚や出産は最も避けなければならないことの一つです。運命のいたずらと言うにはあまりに残酷です。この二人が天冲殺を知っていれば、この家族の宿命も変わっていたのです。
もし人の人生が宿命の通りになるのなら、算命学の鑑定は不要です。人生はその人自らが作っていくものです。時には宿命に逆らいながら、時には宿命に従いながら、幸せを求めて、ささやかにその人生の一瞬一瞬を生きているのです。そのためには人それぞれが宿命を知り、危険を回避しつつ生きていくことが大切ではないでしょうか。
この子の家庭的な幸せが破綻するとき、この子は輝きを放つのです。両親の悲しみがこの子の養分になるのです。私は鑑定をしながら暗澹たる思いに襲われました。願わくば、この子が恋をして結ばれる配偶者が天将星や天南星のような強い星を持っていますように、そしてこの子とともに幸せな家庭を築いていけますように…そう強く祈ります。そしてどのような不幸がこの子に襲いかかろうともこの子は強く生きていける、すばらしい人生を歩んで行ける、そう信じることで今回の相性鑑定を終了したいと思います。
 次回は天冲殺について述べます。ご精読ありがとうございました。

矢口南岳 作

明学院宇都宮校第1回生 編集

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